支給日の属する事業年度で費用計上するのがオーソドックスですが、期末ギリギリまで業績を見極めた上で決算賞与を支給したい、しかし、そうすると期末までに支給できず翌期支給になってしまうという場合もあると思います。
そのような場合には、①賞与の支給額を、各人別に、かつ、同時期に、支給を受ける全ての従業員様に当期末までに通知し、②当該全ての従業員様に、当期末の翌日(=翌期首)から1か月以内に支払い、③当期で損金経理すれば、期末未払計上可能です。
ただし、税務調査で上記の事前通知の根拠を聞かれることがあるかもしれません。口頭で事前通知しましたではエビデンスとしては弱すぎるので、未払損金経理をしようとする当期末までに書面通知し、ご本人の署名押印をもらっておくか、当期末以前に通知したという日付がわかるメール通知するなど、きちんと根拠を残しておいた方がよいです。
ところで、就業規則をお持ちの会社様もあると思いますが、その規則の中の賞与規定において、決算賞与は支給日に在籍している従業員にのみ支給する旨が記載されていないでしょうか。つまり、当期末、全従業員10人に、10万円づつ翌期のいついつに支給しますと通知して、当期で100万円未払損金経理した。しかし、翌期首から1か月以内に到来する支給日の前日までに、もし1人退職したら、9人×10万円=90万円しか支給しません、という趣旨の内容です。
期末未払損金計上が認められる前提は、期末時点で債務が確定していることにあります。この就業規則下での決算賞与は、退職状況で金額が変動するため、債務未確定と判断され期末未払損金計上が否認されるリスクがありますので、注意が必要です。
Q 居住用家屋を取壊して、その敷地を更地で売却したいが、居住用財産の特別控除は適用可能か? |
A
①居住用家屋及びその敷地を譲渡した場合や、②居住用に供していた家屋を、居住用に供しなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに、当該家屋及びその敷地を譲渡した場合において、売却益が出たときは、措法35条を使って申告することで、最大3,000万円の特別控除の適用が可能ですが、更地にして売却した場合も適用の余地があります。
ただし、その場合、上記②の要件に加えて、敷地売却契約を家屋取壊日から1年以内に締結し、かつ、取壊後から売却契約締結までの間、貸付けなどの用に供していないことが要件になりますので、注意が必要です。
基本は居住用家屋ありきの規定です。上物壊して敷地だけで売却なら、要件を厳しくすることで、居住用との因果関係を保っていると考えればイメージが付きやすいと思います。
なお、この特例を前年か前々年に受けている場合や、配偶者・生計一親族・直系血族間の売買である場合、その他一定の特例を受けている場合などは上記特例が不可となる適用除外規定がございますので、注意が必要です。
A 文章より、図で見た方が一目瞭然なので、図示します。
ちなみに、合計所得金額500万円以下とは、給与所得だけの場合は、給与年収6,777,778円以下を指します。また、合計所得金額48万円以下とは、①給与所得だけの場合は、給与年収103万円以下を指し、②公的年金等に係る雑所得だけの場合は、65歳以上の公的年金等収入金額158万円以下、65歳未満の公的年金等収入金額108万円以下を指します。
※税務ブログ(2020.11.9)にて、同じような図表をいくつか作成・掲示してありますので、よろしければそちらもご参考になさってください。